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 里山植生及び木材利用の専門家として、黒田慶子(Aorboreta合同会社)リーダーを務め、広葉樹林を主体とする森林資源のデジタル管理と、未利用材の流通サービスを通じて、放置広葉樹林(里山)の木材としての活用を進め、森林荒廃の問題解決や、輸入材依存のリスク軽減を目指しています。
 共同参画者は、国立大学法人神戸大学、カリモク家具株式会社、Share Woodsほか。関連分野の企業や研究者ととともに、情報発信を随時行ってまいります。

『国産広葉樹活用プロジェクト』

「広葉樹林の資産管理と木材流通」が
2022年Good Design賞を受賞しました

以下をご覧ください

審査委員の評価

日本は世界でも有数の森林大国であるにも関わらず、その管理と活用は進んでおらず、特に広葉樹林の放置や荒廃は大きな社会的課題となっている。研究、技術、事業などそれぞれの専門性を持ち寄り、電子タグとカタログ化によって広葉樹林の資産管理と木材の流通を促進する本取り組みは大きなインパクトへと繋がりうる。所有者へのアプローチ、価値算定のコスト、その後の活用へ向けた事業者連携など課題は少なくないが、今後のさらなる挑戦を応援する意味も含めて選定された。

担当審査委員| 内田 友紀   井上 裕太   緒方 壽人   水野 祐  

どんな取り組みか

★銘木でない広葉樹材に価値 は無いのか ・・・家具などの用材にできることを発見 ➡ここをクリック

★里山の広葉樹を木材として活用するための実践的研究

 里山の荒廃のことは認 識されつつありますが、里山林は本来は農業用の林だったので、その所有者の大半は農家(農村集落)です。薪などとして資源を 使わなくなった現状では、自発的に里山の管理をするのが困難です。一方、家具や内装用の木材は輸入に依存し、北海道以外の国 産材はほとんど流通していません。里山の木は放置あるいはパルプ用に極めて安価に売られ、「国内の木材資源が使えない」状況 が続いています。
 国産広葉樹は、「元薪炭林だから材質が悪い」という関係者は多いのですが、ここには誤解があります。日本の広葉樹は樹種 数が多いので、適材適所の判断と加工技術が必要なこと、同一樹種が大量に出てこないため、敬遠されやすいのです。
  今後、海外の資源への全面依存にはリスクがあり、一方で、半世紀以上放置された里山では蓄積が増えました。その資源を積 極的に使えるようにしたいと考え、このプロジェクトを始めました。樹木という再生可能資源の持続的利用こそ、循環型社会の実 現に重要です。資源利用を地域経済に組み込むには、薪と炭の昔に戻すのではなく、広葉樹材生産やグリーンツーリズムなど新た な仕組みや企画が必須となります。
 ここでは、「流通しない国産広葉樹」を流通させる方法を提案していきます。

プロジェクト としてのアプローチ
a) 課題解決への期待 

広葉樹の板材価格は全般に 針葉樹材より高価で、里山材が妥当な価格で販売できると森林所有者(農村集落)の管理意識が高まり、国土の持続的管理につな がる。しかし、「どこに、どんな材が、どの程度あるか」という情報さえ無い。そこに焦点を定めて、森林産業として地域の収入 を増やし、持続的管理によって循環型社会を実現させたい。

 

b) 新たな仕組み

里山材が流通しない理由は、所有者が資源の価 値を知らないことが大きい。そこで、「有利に売る」ために、立木段階や出材時に資源をカタログ化(電子記録)し、売り手が優位に立て る仕組みを作っていく。クラウドサーバ上のデータ継承により、里山木材のトレーサビリティが確立できる。消費者には産地情報と木材を 合わせて販売する。 

c) 技術開発 

国産材を購入したい企業は増えているが、必要 量が入手できない。市場での対面販売、素材業者等による「符号・記憶」依存というアナログ的管理のためである。電子タグ、QRコー ド、クラウドサーバ利用による電子的管理に移行させると、立木段階から資源を把握して販売できる。また、山から購入者までのトレーサ ビリティを保証できる。この電子カタログ化技術はほぼ完成し、社会実装を開始したところである。

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